【書籍】キッズライクアス
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「普通」とは何か? 自閉症スペクトラム障害の高校生マーティンの恋
『キッズライクアス』は、2017年に発刊されたヤングアダルト向け小説であり、自閉症スペクトラム障害(高機能自閉症)の高校生の男の子、マーティンが主人公の物語だ。マーティンは普段はロサンゼルスの「特別な」学校に通っているが、映画監督である母親の仕事にくっついて、夏休みをフランスの田舎町で過ごすことになる。
マーティンは生まれて初めて「普通の高校」に通い、そこで出会ったフランス人の女の子に電撃的に恋に落ちる。そして、とても独特な方法で彼女を想い慕うのだ。彼はプルーストの「失われた時を求めて」を愛読しており、自分を取り巻く世界の多くをこの作品の文脈と結びつけて解釈しようとする。最初の頃は、恋に落ちた彼女も、周りにいる「普通の友達」も、プルーストの物語の世界の中から見た「空想」の一つだった。しかし次第に、彼はそれが空想ではなく、生身の人間であることに気づき始めるのだ。
それはマーティンにとっては衝撃的な気づきだったに違いない。それまで自閉症スペクトラム障害として生きてきたマーティンに、数々の葛藤が生まれる。マーティンは両親に幼少の頃から数々の療育を施されてきたが、それにどのような意味があったのか。「自閉症」は治すべきものなのか。なぜ自分に「普通の友達」ができると、母親が喜ぶのか。果たして自分は一体何者なのか。
思春期を迎えた自閉症スペクトラム障害の高校生の、瑞々しくも胸が詰まるような心の揺れ。最終的に、マーティンはフランスでのさまざまな葛藤や交流、そして故郷ロサンゼルスの「特別な」学校の友人たちとのやり取りを通して、「自分は自分のままでいいのだ」という答えを見出していく。
《著者・訳者プロフィール》
著:ヒラリー・レイル(Hilary Reyl )
ニューヨーク在住の作家。ニューヨーク大学にてフランス文学を専攻し、19世紀のフランス流行文学の研究で博士号取得。学位取得後にフランスに留学し、パリで数年間を過ごす。デビュー作は『Lessons in French』で、Oprah.conの編集者選書に取り上げられた。『キッズライクアス』(原題:kids like Us)は著者が手がけた初のヤングアダルト小説。
訳:林 真紀(はやし まき)
つくば未来リサーチ(翻訳者/研究者)。慶應義塾大学環境情報学部卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程中退。精密機器メーカー、国立大学法人の研究室にて勤務の後、独立。委託調査業務や企業翻訳の傍ら、LITALICO「発達ナビ」などで発達障害の子どもを育てる保護者向け記事を多数執筆
note: https://note.mu/tamamee66
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《書籍の詳細について》
http://thousandsofbooks.jp/project/kidslikeus/
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《この書籍について》
書名:キッズライクアス
著:ヒラリー・レイル
訳:林 真紀
発行:2020年7月
ジャンル:フィクション(ヤングアダルト)
仕様:四六判/378ページ
ISBN:978-4-909125-21-7
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